「財務・会計」用語集、まずはここを押さえていく

2. 財務・会計

はじめに

中小企業診断士の「財務・会計」を勉強する上で覚えておくべき用語について、試験概要からピックアップ+α しました。

中小企業診断士の一次試験「財務・会計」は、二次試験にも直結する重要科目です。一次で身につける“数字の読み方”や“判断の型”は、二次の与件解釈や助言の説得力にそのまま効いてきます。
そこでこのページでは、一次の得点源になりやすく、かつ二次でも再登場しやすい論点を【重要項目】として先に整理します。まずはここから優先的に押さえ、「解ける」だけでなく「説明できる」状態まで固めていきましょう。


重要項目A:二次でも軸になる(最優先)

※一次対策で得点しつつ、二次で“使える理解”にする最重要領域。

  • 経営分析(収益性・安全性・効率性)

  • 財務諸表の読み方(PL/BS/CFのつながり)

  • キャッシュフロー(営業CF・投資CF・財務CF、資金繰り感覚)

  • CVP分析/損益分岐点(固定費・変動費・限界利益)

  • 投資意思決定(NPV・IRR・回収期間、資本コストの考え方)

  • 資本構成・レバレッジ(ROE、負債の効き方、リスク)

  • 運転資金(売掛・棚卸・買掛の回転、資金繰りの影響)

  • 企業価値の基本(DCFの考え方、バリュエーションの入口)


重要項目B:一次で得点源、二次の補助線にもなる(優先)

※一次の典型問題で確実に取れるようにして、二次では“数値根拠の補強”に使う領域。

  • 原価計算の基本(直接費・間接費、配賦、製造原価)

  • 標準原価計算と差異分析(どこでズレたかを説明できる)

  • 財務比率の意味(流動比率、当座比率、自己資本比率など)

  • 利息・割引・複利(現在価値、将来価値、年金現価係数)

  • 減価償却(定額法・定率法、利益とCFへの影響)

  • 在庫評価(先入先出・移動平均、利益のブレ)

  • 外貨・為替の基礎(為替差損益の扱い)

  • 連結・企業結合の超基礎(仕組みの理解レベルでOK)


簿記の基礎

用語 意味・ポイント
簿記 企業の取引を一定のルールで記録・計算・集計し、財務諸表などの報告書を作る仕組み。中小企業診断士では「複式簿記」が前提。
簿記の5つの要素 資産・負債・純資産(資本)・収益・費用。仕訳の左右(借方・貸方)の意味付けのベースになる。
勘定科目 取引を分類・記録するための項目名(現金、売掛金、売上、仕入など)。試験では「どの勘定が増減するか」が仕訳問題で頻出。
仕訳 取引を借方・貸方に分けて記録すること。借方=増える側とは限らないので、5要素との対応で覚える。
主要簿 仕訳帳+総勘定元帳の総称。仕訳帳で日付順に記録し、総勘定元帳に転記して勘定ごとの残高を管理する。
試算表 各勘定の残高を一覧にした表。借方合計と貸方合計が一致しているかで記帳の誤りチェックをする。決算処理一巡の中間チェック。
精算表 試算表に決算整理仕訳を反映させ、損益計算書・貸借対照表の数値をまとめるためのワークシート的な表。定義を言えるように。
決算整理仕訳 前払費用・未払費用・前受収益・未収収益、減価償却、貸倒引当金などを決算時に一括修正する仕訳。どの勘定が増減するかをパターンで暗記。
減価償却(定額法・定率法) 長期利用資産の取得原価を使用期間に配分する会計処理。定額法=取得原価×償却率、定率法=期首帳簿価額×償却率。計算式をそのまま書けるように。
貸倒引当金 将来の売掛金等の回収不能に備えた見積引当金。売上債権からマイナス表示される。個別評価と一括評価、差額補充法の仕訳が頻出。

企業会計の基礎(財務諸表)

用語 意味・ポイント
財務会計 株主・債権者など企業外部の利害関係者に報告するための会計。会社法・金商法等に基づき作成が義務づけられる。
管理会計 経営者・管理者など社内の意思決定・業績管理のための会計。法的義務はなく、CVP分析や予算管理などが代表例。
財務諸表 貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・キャッシュフロー計算書など、企業の状況を示す一連の報告書。目的・役割をセットで覚える。
貸借対照表(B/S) ある時点の財政状態(資金の調達源泉と運用状態)を示す表。資産の部・負債の部・純資産の部から構成。
損益計算書(P/L) 一定期間の経営成績(儲け)を示す表。売上総利益→営業利益→経常利益→税引前当期純利益→当期純利益という5段階利益が頻出。
5つの利益 売上総利益=売上高−売上原価/営業利益=売上総利益−販管費/経常利益=営業利益+営業外収益−営業外費用/税引前当期純利益=経常利益+特別利益−特別損失/当期純利益=税引前当期純利益−法人税等。計算式まで言えるように。
キャッシュ・フロー計算書 期中の現金・現金同等物の増減要因を、営業・投資・財務という3区分で示す表。間接法・直接法の違い、各区分の典型項目が問われる。
株主資本等変動計算書 純資産(特に株主資本)の期首から期末までの増減を示す表。新株発行・配当・自己株式取得などの動きを把握する。
資産 将来の経済的利益を企業にもたらすと期待されるもの。流動資産(短期で現金化)・固定資産(長期利用)・繰延資産の3区分が基本。
負債 将来の支払義務。流動負債(1年以内に支払)と固定負債(1年超)。支払手形・買掛金・短期借入金・社債・長期借入金・退職給付引当金など。
純資産 資産−負債=所有者に帰属する部分。株主資本(資本金・資本剰余金・利益剰余金・自己株式)+新株予約権などで構成。
流動資産 通常の営業サイクルで現金化されるか、1年以内に現金化される資産(現金預金、売上債権、棚卸資産、有価証券など)。区分基準と代表科目をセットで。
固定資産 1年以上の長期にわたり利用・保有される資産。有形固定資産(建物、機械)、無形固定資産(特許権、のれん)、投資その他の資産に分類。
繰延資産 実質は費用だが、効果が複数期に及ぶため資産として一時計上するもの(創立費、開業費、社債発行費など)。会計基準上、対象はかなり限定される。
正常営業循環基準・一年基準 流動・固定の区分ルール。通常の営業サイクルに含まれるものは流動、それ以外は決算日翌日から1年以内に決済されるものを流動とする。

税務会計の基礎・企業結合

用語 意味・ポイント
法人税の確定申告 事業年度終了後、原則2か月以内に申告・納付。手続きの流れと期限が問われることがある。
税務調整 会計上の当期純利益を出発点に、税法上認められない費用・益金などを加減算して課税所得を求める作業。別表四が中心。
益金・損金 税務上の収益を益金、費用を損金と呼ぶ。会計上の収益・費用と完全一致しない点(損金不算入・益金不算入)がポイント。
損金不算入 会計上は費用でも、税務上は損金に算入できないもの(罰金・罰則金、役員賞与など)。具体例をいくつか言えるように。
税効果会計 会計と税務のタイミング差(将来一時差異)を調整し、将来の税額影響を繰延税金資産・負債として計上する会計。発生条件が出題される。
将来減算一時差異 将来の課税所得を減少させる差異(例:繰越欠損金、引当金の一部など)。繰延税金資産として計上される。
永久差異 会計上は費用・収益だが、税務上は永遠に損金・益金に算入されない項目(交際費の一部など)。税効果会計の対象外。
パーチェス法 企業結合時に取得対価を基準に資産負債を時価評価する方法。取得対価>時価純資産なら「のれん」を計上。
のれん 企業買収時の超過取得価額。一定期間で規則的に償却する(最近は会計基準で処理が変化しているので、テキストに合わせて確認)。
連結財務諸表 親会社と子会社をひとつの経済主体とみなして作成する財務諸表。連結範囲、作成手順、非支配株主持分の計算が頻出。
非支配株主持分 親会社が保有しない子会社純資産の部分。連結B/Sの純資産の部に表示。計算例(持分60%なら残り40%が非支配)は手を動かして練習。

原価計算

用語 意味・ポイント
原価 製品やサービスを提供するために投入された貨幣額。試験では「費目別・機能別・形態別」の分類と計算問題が中心。
費目別分類 材料費・労務費・経費の3区分。原価計算の最も基本的な分類。
製造原価 製品を製造するための原価。材料費+労務費+製造経費。販売費・一般管理費は含めない。
製造間接費 特定製品に直接対応させにくい製造コスト(工場の電気代、工場長給料など)。配賦基準(直接労務時間など)で各製品に配分。
製造原価報告書 期間中の製造原価の流れをまとめる表。材料費の計算(期首+当期購入−期末)と当期製品製造原価の式が頻出。
個別原価計算 個々の受注・案件ごとに原価を集計する方法(造船、特注品など)。賦課・配賦の意味を整理。
総合原価計算 同種製品を大量連続生産する場合に、期間全体の原価を平均して単価を計算する方法。進捗度・完成品換算量・先入先出法と加重平均法の違いが論点。
進捗度・完成品換算量 期末仕掛品の完成度を%で表し、完成品換算量=(完成品数量+期末仕掛品数量×進捗度)で計算。ボックス図による整理が有効。
標準原価計算 あらかじめ標準価格・標準数量を定め、それと実際原価との差異(有利差異・不利差異)を分析する方法。材料費差異=価格差異+数量差異、労務費差異=賃率差異+能率差異。
直接原価計算 変動費のみを製品原価に算入し、固定費は期間費とする考え方。損益計算書は「売上高−変動費=限界利益、限界利益−固定費=営業利益」という形式になる。

経営分析

用語 意味・ポイント
経営分析の比較方法 時系列比較・他社比較・業界平均比較の3つが基本。どの基準と比べている指標か意識。
収益性分析 ROA・ROE・売上高総利益率・営業利益率・経常利益率など。「いくらの資本からどれだけ利益を上げたか」を見る。
総資本事業利益率(ROA) 事業利益 ÷ 総資本(平均)。総資本回転率 × 事業利益率に分解できる(デュポンシステム)。
自己資本利益率(ROE) 当期純利益 ÷ 自己資本(平均)。株主からみた投資効率。ROAとの関係、財務レバレッジとの関係が応用論点。
活動性(効率性)分析 経営資本回転率、棚卸資産回転率、売掛金回転率など。売上高÷平均残高の形で覚える。
安全性分析(短期) 流動比率=流動資産÷流動負債、当座比率=当座資産÷流動負債など。流動比率200%、当座比率100%程度が目安。
安全性分析(長期) 固定長期適合率=固定資産÷(自己資本+固定負債)、自己資本比率=自己資本÷総資本。長期的な財務体質を見る。
労働生産性 付加価値額 ÷ 従業員数(または労働時間)。人的資源の生産性を測る指標。
損益分岐点(BEP) 売上高と総費用がちょうど等しくなる点。CVP分析の中心概念。BEP売上高=固定費÷限界利益率。
限界利益率 限界利益÷売上高。CVP分析の多くの式に登場するので「変動費率(変動費÷売上高)」とセットで暗記。




利益と資金の管理

用語 意味・ポイント
限界利益 売上高−変動費。固定費をどれだけ回収できるかを示す。プロダクトミックスやCVP分析の起点。
貢献利益 限界利益から、商品の直接固定費を引いたもの。商品別業績評価やプロダクトミックスの意思決定で使う。
プロダクト・ミックス 複数商品をどの組み合わせで販売するかという問題。制約条件(加工時間など)ごとに「限界利益/制約要因」で優先順位をつける。
予算管理 期首に立てた予算と実績を比較し、差異の原因を分析する仕組み。差異分析問題が出やすい。
予算差異分析 価格差異・数量差異、能率差異などに分解して原因を特定する手法。原価差異分析とセットで整理。
資金繰り・資金計画 現金収支の見通しを作り、資金ショートを防ぐ管理。短期借入金の増減や回収条件の変化などがシミュレーションで問われる。
運転資金(運転資本) 売上債権+棚卸資産−仕入債務。日々の営業を回すために必要な資金量で、短期安全性と関連。
フリー・キャッシュ・フロー(FCF) 事業活動で生み出されたキャッシュから、将来の成長のための投資額を差し引いた、自由に使えるキャッシュ。営業利益ベース・CF計算書ベースの2つの計算式を覚える。

資金調達と配当政策

用語 意味・ポイント
内部金融 利益剰余金など、企業内部で生じた資金による調達。自己資本が増え、財務安全性は高まるがROEは低下しがち。
外部金融 借入金や株式発行など、外部から資金を調達すること。直接金融・間接金融に分かれる。
直接金融・間接金融 投資家が企業へ直接投資するのが直接金融(株式・社債など)、金融機関を介するのが間接金融(銀行借入など)。日本は間接金融の比率が高い。
自己資本と他人資本 自己資本=返済不要だがコスト(配当など)が高い/他人資本=返済義務があるが税金シールドにより実質コストは低め。
資本コスト 資金を調達するための必要収益率。株主が要求するリターン(自己資本コスト)や借入金利(負債コスト)など。
WACC(加重平均資本コスト) 自己資本コストと負債コストを資本構成比で加重平均したもの。投資案件の割引率としても使う。
配当政策 利益をどの程度配当するかの方針。配当性向・配当利回り、自社株買いとの関係が論点。
配当利回り・配当性向 配当利回り=1株配当÷株価、配当性向=配当総額÷当期純利益。株主へのインカムリターンの水準を示す。
財務レバレッジ 負債を使うことでROEを高める効果。負債が多すぎると財務リスク増大とのトレードオフ。MM理論との関連で押さえる。

実物投資・投資評価

用語 意味・ポイント
貨幣の時間価値 「今の1円>将来の1円」という考え方。割引現在価値を求める基礎。
現在価値・割引率 将来キャッシュフローを利率rで割り引いた値。PV=CF÷(1+r)^n。割引率はリスクに応じた期待収益率。
正味現在価値法(NPV) NPV=将来CFの現在価値合計−初期投資額。NPV>0なら投資採択。最重要の投資評価基準。
内部収益率法(IRR) NPV=0となる割引率を求め、その値と目標利率を比較して投資可否を判断する方法。複数解や再投資利率の仮定が問題点。
回収期間法 投資額をキャッシュインフローで回収するまでの年数で評価する簡便法。時間価値を無視する点が欠点。
会計的投資利益率 平均利益÷平均投資額などで求める会計ベースの利回り。NPV・IRRと比べ、時間価値を考慮しない点が弱点。
投資評価の代表的手法 NPV法・IRR法・回収期間法・会計的投資利益率法など。長所・短所を比較する問題が出やすい。

証券投資・資本市場と資本コスト

用語 意味・ポイント
リターンとリスク リターン=期待収益率、リスク=収益率のブレ(分散・標準偏差)。ポートフォリオ理論の出発点。
分散・標準偏差 分散=偏差平方の平均、標準偏差=分散の平方根。リスク量を定量化する基本指標。
ポートフォリオ 複数資産を組み合わせた投資。相関の低い資産を組み合わせることで、リスクを下げつつリターンを維持することができる。
効率的フロンティア あるリスク水準でリターンが最大、あるリターン水準でリスクが最小となるポートフォリオの集合。効率的な組み合わせだけが投資対象。
CAPM 期待収益率=無リスク利子率+β×(市場ポートフォリオの期待収益率−無リスク利子率)で表されるモデル。βは市場に対する感応度。
株式指標(PER・PBR) PER=株価÷1株当たり利益/PBR=株価÷1株当たり純資産。PER・PBRが高いと「割高」に見えるが、成長性も加味して判断する。

企業価値

用語 意味・ポイント
企業価値 企業全体が将来生み出すキャッシュフローの現在価値。株主価値+負債価値で表すことが多い。
DCF法 FCFをWACCで割引して企業価値を求める方法。将来CFが一定の場合・一定成長の場合の公式を押さえる。
収益還元法 安定した利益を一定利率で還元して価値を求める方法。企業価値=利益÷還元利回り。
簿価純資産法・時価純資産法 貸借対照表の純資産を簿価または時価ベースで評価して株主価値を求める方法。ストック重視の保守的評価。
マルチプル法 同業他社のPER・EBITDA倍率などを基準に株価や企業価値を比較する方法(乗数法)。M&Aの実務で多用。
MM理論 完全資本市場では資本構成は企業価値に影響しない、という理論。現実には税金・破綻コストなどで最適資本構成が存在する、という拡張版も押さえる。

デリバティブとリスク管理

用語 意味・ポイント
デリバティブ 株式や債券・為替などの価格に基づいて価値が決まる金融派生商品(先物・オプション・スワップなど)の総称。
為替予約 将来の一定期日に、あらかじめ定めたレートで外貨を売買する契約。輸出入企業が為替リスクをヘッジする目的で利用。
オプション取引 将来のある期日まで(または期日に)、あらかじめ決めた価格で、資産を買う・売る権利を取引すること。権利なので、行使は任意。
コール/プット コール=買う権利、プット=売る権利。買い手はプレミアムを支払い、損失は限定・利益は無限大(に近い)という非対称性が特徴。
ロング/ショート オプションの買い手=ロング、売り手=ショート。ショートはプレミアムを受け取る代わりに、損失が大きくなり得る点に注意。
ヨーロピアン型・アメリカン型 ヨーロピアン型=満期日にのみ行使可能/アメリカン型=満期日までのいつでも行使可能。試験では定義レベルの確認が多い。
先物取引 将来の一定期日に、ある価格で資産を売買することを約束する取引。証拠金のみでレバレッジをきかせられる点がリスクでもあり魅力でもある。
スワップ(金利・通貨) 将来の複数のキャッシュフローを交換する契約。金利スワップ=固定金利と変動金利の交換、通貨スワップ=異なる通貨建て元利金の交換。金利・為替リスクのヘッジ手段。
リスクの種類 価格変動リスク、金利リスク、為替リスク、信用リスク、流動性リスクなど。どのデリバティブでどのリスクをヘッジできるかを対応づけて覚える。

 

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