「中小企業経営・政策」用語集、まずはここを押さえていく

7. 中小企業経営・政策

中小企業診断士の「中小企業経営・政策」を勉強する上で覚えておくべき用語について、試験概要からピックアップ+α しました。

中小企業の動向(定義・統計・DXなど)

用語意味・ポイント(試験対策)
中小企業の定義(製造業・建設業・運輸業)資本金 3億円以下 または 従業員数300人以下。どちらか一方を満たせば中小企業。典型的な「製造業の中小企業」のイメージ。
中小企業の定義(卸売業)資本金 1億円以下 または従業員数 100人以下。小売業と値が混ざりやすいので、「卸は1億・100人」とセットで暗記。
中小企業の定義(小売業)資本金 5,000万円以下 または従業員数 50人以下。「5,000万・50人」の“5”が並ぶイメージで覚える。
中小企業の定義(サービス業)資本金 5,000万円以下 または従業員数 100人以下。「サービスは人が多め(100人)」と押さえる。
小規模企業の定義(製造・建設・運輸・その他)従業員数20人以下。資本金要件はなし。小規模=人数だけで見る点がポイント。
小規模企業の定義(卸売・小売・サービス業)従業員数5人以下。5人以下かどうかだけで判断。
中小企業数の割合全企業数のうち 約99.7% が中小企業。日本企業のほぼすべてが中小企業と押さえられればOK。
中小企業数が最も多い産業小売業 が最も多い。街の商店・店舗が多いイメージと結びつける。
中小企業従業者の割合全従業者のうち 約69.7%(7割弱) が中小企業に勤務。雇用面で中小企業が大きな役割を持つことを示す数字。
中小企業従業者数が最も多い産業製造業 が最多。地方・都市問わず工場・製造拠点が多いことをイメージ。
中小企業従業者比率が最も高い産業「医療・福祉」で 約89.4%。医療・介護分野は中小主体であることを押さえる。
開業率・廃業率最新統計(2022年度)では 開業率3.9%・廃業率3.3%。おおむね開業がやや上回る水準と理解しておく。
売上高経常利益率が最も低い業種宿泊業・飲食サービス業。粗利が低く固定費が高い業種の代表例。
自己資本比率が最も低い業種これも 宿泊業・飲食サービス業。借入依存度が高い=財務の脆弱さがポイント。
中小企業売上高の最近の推移2021年1Qを底に回復傾向だったが、2023年4Qでは増加幅が縮小。景気回復が鈍化しているイメージ。
人手不足を感じていない企業の要因賃金・賞与の引き上げ」「働きやすい職場環境」「定年延長・シニア再雇用」などを行っている企業で不足感が小さい。人事施策と人手不足の関係を問われやすい。
企業規模間の労働生産性格差が小さい業種宿泊業・飲食サービス業」「生活関連サービス・娯楽業」。大企業も中小も似た生産性というイメージ。
中小企業の後継者不在率2023年時点で 約54.5%。半数超が後継者不在であることが事業承継問題の背景。
中小企業の直接輸出割合・直接投資企業割合直接輸出:21.0%直接投資企業:14.2%。グローバル展開している中小企業も一定数あることを示す。
中小企業のDX推進の課題費用負担が大きい」「DXを推進する人材が足りない」が代表的。費用と人材がボトルネックになっている点を押さえる。

環境変化に対応する中小企業(人材・投資・M&A 等)

用語意味・ポイント(試験対策)
人材不足感が大きい業種建設業宿泊業・飲食サービス業 で中核人材・業務人材とも不足感が大きい。人手不足問題の典型業種。
人材育成の課題(中小企業)指導する人材の不足」「育成にかける時間がない」が多い。教育する側のリソース不足が主なボトルネック。
人手不足対応の設備投資の課題業務の標準化が難しい」が最も多く、「投資効果が不明」「導入資金が足りない」が続く。業務標準化→自動化という流れをイメージ。
金融機関が成長投資計画で重視する点投資総額の妥当性」が最重要で、「投資収益の継続性」「黒字化までの期間」が続く。数字と計画の実現可能性を見ている。
金融機関による経営支援のうち利用が多いもの諸制度の情報提供」「販路・仕入先拡大支援」「経営計画・事業戦略策定支援」「財務・税務・法務・労務相談」など。単なる融資だけでなくソフト支援が重要。
中小企業のエクイティ・ファイナンスの目的既存事業強化のための増加運転資金」「既存事業強化のための設備投資」が多い。ベンチャーの赤字補填だけではなく、成長投資目的が主。
成長に向けた設備投資を多く実施している業種宿泊業 が最も高く、次いで 製造業・運輸業。観光需要や物流需要に対応する投資。
M&A(他社事業の譲受・買収)の効果売上高の増加」「市場シェア拡大」「人材の獲得」など。M&A=事業規模拡大と人材確保の手段と押さえる。
海外展開実施割合が最も高い業種製造業 で「海外展開を実施している」企業割合が2割超と最も高い。輸出・海外生産が多い。
支援機関側の課題支援人員の不足」「支援ノウハウ・知見の不足」。支援する側もリソース不足である点がテーマ。

経営課題に立ち向かう小規模事業者

用語意味・ポイント(試験対策)
小規模事業者が重要と考える経営課題販路開拓・マーケティング」「人手不足」「資金繰り」が上位。売上・人・お金が三大課題。
小規模事業者の販路開拓の課題開拓に必要な人材の不足」が4割超で最多。「商品・サービス力の強化」「情報収集・分析の不足」が続く。
資金繰りが苦しい小規模事業者の割合「事業不調で資金繰りも苦しい」18.2%+「事業好調だが資金繰りは苦しい」22.7%で、約4割が資金繰りに苦しんでいる。
小規模事業者の人材育成の課題育成にかける時間がない」が5割超で最多、「指導する人材の不足」「育成しても離職してしまう」が続く。時間と人材の両面が課題。
小規模事業者の地域貢献活動祭りなどの伝統行事の開催・維持」への参加が最多。地域コミュニティ維持の役割が強い。
商店街に期待される役割地域住民への身近な購買機会の提供」「治安・防犯への寄与」「地域の賑わい創出」など。単なる買物の場以上の役割。
開業率・廃業率が最も高い業種いずれも 宿泊業・飲食サービス業 が最高。参入も退出も多く、出入りの激しい業種。

政策の基本と金融サポート(基本法・税制・信用保証)

用語意味・ポイント(試験対策)
中小企業基本法における中小企業の役割新たな産業の創出」「就業機会の増大」「市場における競争促進」「地域経済の活性化」。役割4つをセットで。
中小企業基本法の4つの基本方針①経営革新・創業促進、②経営基盤の強化(経営資源確保・取引適正化)、③環境変化への適応(経営安定・事業転換)、④資金供給の円滑化・自己資本充実。柱の名称レベルを押さえればOK。
中小企業憲章の5つの基本原則①中小企業を支援し力を発揮させる、②起業を増やす、③新市場開拓の挑戦を促す、④公正な市場環境整備、⑤セーフティネット整備と安心確保。文言はざっくりでよいが「5原則」があることは必ず覚える。
小規模基本法の2つの基本原則①小規模企業の持続的発展、②小規模企業者の円滑・着実な事業運営支援。小規模にフォーカスした基本法。
小規模支援法の3つの内容伴走型支援体制の整備、②商工会・商工会議所を中核とした連携促進、③中小機構の業務追加
政府系金融機関日本政策金融公庫」「商工組合中央金庫(商工中金)」。どちらも“政策”系融資機関。
信用保証制度中小企業が金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会が保証人となる制度。保証により金融機関が貸しやすくなる。
信用保証制度の保証限度額普通保証 2億円、無担保保証 8,000万円、無担保・無保証人保証 2,000万円。数字は頻出なのでセット暗記。
セーフティネット保証制度取引先倒産・災害・金融機関破綻などにより経営が不安定な中小企業に、一般枠とは別枠で保証を付与する制度。危機時の追加枠。
流動資産担保融資保証制度売掛金・棚卸資産等の流動資産を担保にした融資に、信用保証協会が保証を付ける仕組み。動く資産を担保化。
中小法人の法人税率(期末資本金1億円以下)所得800万円以下:15%800万円超:23.2%。中小企業は軽減税率がある点がポイント。
青色申告特別控除制度正規の簿記による帳簿で青色申告をした事業者に対し、最大65万円の所得控除が認められる制度。
中小企業投資促進税制中小事業者が機械装置等の設備投資を行った際、7%税額控除または30%特別償却を選択できる制度。投資促進のための税優遇。
欠損金の繰越制度税務上の赤字(欠損金)を最大10年間繰り越して将来の所得と相殺できる制度。利益が出た年の税負担を軽減。
中小法人の交際費の損金算入接待飲食費の50%を損金算入」または「年間800万円まで全額損金算入(定額控除限度額)」のどちらかを選択可能。
エンジェル税制ベンチャー企業に出資する個人投資家に対する税優遇。投資時・売却時の税額を軽減し、スタートアップ投資を促進。

経営基盤の強化(人材・技術・組合・地域施策)

用語意味・ポイント(試験対策)
雇用調整助成金景気変動等で事業が縮小した企業が、休業・教育訓練・出向などにより雇用維持を図る際、賃金等の一部を国が助成する制度。中小に限定されない。
キャリアアップ助成金有期・パート等の非正規雇用を正規雇用へ転換するなど、キャリアアップに取り組む事業主を支援する助成金。目的は「非正規→正規」。
中小企業退職金共済制度(中退共)中小企業者が共済制度を利用して従業員の退職金を積立てる制度。運営主体は「勤労者退職金共済機構」。
特定ものづくり基盤技術高度化指針精密加工・機械制御・情報処理等の特定ものづくり基盤技術について、中小企業が目指すべき技術開発の方向性を定めた指針。産業競争力強化が狙い。
成長型中小企業等研究開発支援事業中小企業が大学・公設試験研究機関等と連携し、特定ものづくり基盤技術を活用した高度なサービス等の研究開発を行う場合に支援する事業。
戦略的CIO育成支援事業専門家を派遣し、中小企業のIT化やCIO人材育成を支援する事業。IT戦略人材の不足を補う。
J-Net21中小機構が運営する中小企業向けポータルサイト。補助金情報・経営ノウハウなどを提供。
INPIT知財総合支援窓口都道府県ごとに設置された、中小企業等の知財に関する相談窓口。特許・商標等のワンストップ相談拠点。
海外権利化支援事業中小企業が海外で特許・実用新案・意匠・商標の権利化を行う際、費用の一部を助成する事業。海外展開支援の一つ。
事業協同組合中小事業者が4人以上で共同事業を行うための組合。仕入・販売・設備等の共同化によるスケールメリットが狙い。
企業組合個人または法人4人以上で共同事業を行う組合。小規模企業の共同経営形態。
協業組合中小企業者がそれぞれの事業の全部または一部を統合し、共同で事業を行う組合。事業統合色が強い。
組合から株式会社への組織変更事業協同組合・企業組合・協業組合いずれも株式会社への組織変更が可能。試験で「できる/できない」を問われやすい。
高度化事業中小企業組合等が行う設備投資について、設備資金の貸付やアドバイス等で支援する制度。共同施設整備などが対象。
地域未来投資促進法に基づく支援地域の特性を生かして高付加価値を創出する「地域経済牽引事業計画」が承認された事業者に対し、税制特例や融資等を行う制度。
農商工等連携促進法に基づく支援中小企業者と農林漁業者が連携して行う事業に対し、専門家による支援や融資等を行う制度。
流通業務総合効率化法に基づく支援中小企業組合や中小企業からなる任意グループが、流通業務の効率化を図る際に融資等の支援を受けられる制度。物流効率化がキーワード。

中小企業の経営安定化(共済・BCP・下請法・再生)

用語意味・ポイント(試験対策)
中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)取引先の倒産による連鎖倒産を防ぎ、経営の安定を図るための共済制度。運営は中小機構。掛金に応じて借入が可能。
経営セーフティ共済の貸付限度掛金総額の10倍回収不能債権額 のうち、少ない方。数字の構造を押さえる。
事業継続計画(BCP)企業が災害等の緊急事態に備え、事業を継続・早期復旧するための計画。中小にも策定が推奨されている。
事業継続力強化計画中小企業が行う防災・減災に関する取組を一体的にまとめた計画で、国の認定を受けると各種支援が受けられる。
BCP資金「事業継続力強化計画」の認定企業やBCP策定企業が、BCPに基づく設備投資等の資金の融資を受けられる制度。
下請代金支払遅延等防止法(製造委託の下請取引)製造委託の場合、①資本金3億円超の親事業者→3億円以下の法人・個人、②資本金1,000万円超~3億円以下の親事業者→1,000万円以下の法人・個人への委託が下請取引に該当。
下請法における親事業者の義務書面交付義務発注書類の保管義務支払期日を定める義務遅延利息支払義務など。義務違反=勧告・公表等の対象。
下請かけこみ寺中小企業の取引に関する悩みや紛争を相談・解決支援する窓口。公正取引委員会・中小機構等が関与。
中小企業活性化協議会中小企業の再生・収益力改善を支援する公的機関。都道府県ごとに設置。
企業再生貸付制度民事再生等の法的再生や自主再建に取り組む中小企業に対し、日本政策金融公庫が必要資金を貸し付ける制度
事業再生保証制度法的再生手続を利用して事業再生を図る企業に対し、信用保証協会が保証を行う制度
中小企業再生ファンド再生に取組む中小企業に、投資(出資)という形で資金供給・経営支援を行うファンド。
事業承継税制事業承継の後継者に対し、相続税・贈与税を猶予・免除する特例制度。円滑な事業承継を促進する。

経営革新と創業支援

用語意味・ポイント(試験対策)
新事業活動(経営革新支援)①新商品の開発・生産、②新役務の開発・提供、③商品の新たな生産・販売方式、④役務の新たな提供方式、⑤技術の研究開発と成果利用等の5類型。この5つの列挙が頻出。
経営革新計画の目標経営指標付加価値額または1人当たり付加価値額、②給与支給総額 の伸び率を目標に設定する必要がある。
経営革新計画(3年計画)の伸び率要件計画期間3年の場合、①付加価値額(or1人当たり付加価値額)9%以上、②給与支給総額4.5%以上の伸びが必要。数字は要暗記。
新規開業資金新規開業者や開業後概ね7年以内の者に、日本政策金融公庫(国民生活事業)が最大7,200万円(運転4,800万円)を融資する制度。
女性・若者/シニア起業家支援資金対象は 女性・35歳未満の若者・55歳以上の高齢者 で、新規開業または開業後概ね7年以内の者。属性に着目した開業支援。
小規模事業者経営改善資金融資制度(マル経融資)小規模事業者の経営改善のための資金を、2,000万円まで無担保・無保証人・低利で融資する制度。
マル経融資の利用要件小規模商工業者であること、商工会・商工会議所の経営指導員の指導を6か月以上受けている、税金完納、同一地区で1年以上事業継続など。
小規模事業者持続化補助金小規模事業者が経営計画を作成し、それに沿った販路開拓・生産性向上の取組に要する費用を補助。上限50万円・補助率2/3(通常枠)。
小規模企業共済制度小規模企業の役員・個人事業主が、掛金を積立て、廃業・退職時に共済金(退職金)を受け取れる制度。自営業者のための退職金共済。

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