資格取得のための勉強は過去問をやり込むことが鉄則です。しかし、それだけだと下手をすると本当に資格取得のためだけになってしまいかねません。せっかくなのでそのあとにも役立つ勉強にしたいです。そのためには、ちょっとした違いをきちんと押さえておくことがけっこく重要だと私は思っています。そこで、そういうことはChatGPTに聞いてその差を理解することで、似た概念についてもしっかりと理解するという技を作り上げていっています。
これまでの事例を通して、聞き方のパターンをお伝えしたいと思います。
なぜ「似ているけど違う」をAIに説明させると効くのか
資格試験の鉄則は、言うまでもなく過去問をやり込むことです。
ですが、過去問を解き続けると、だんだんこんな壁にぶつかります。
用語どうしがすごくよく似ている
問題文の言い回しもほとんど同じ
でも、模範解答は少しだけ違う
この「似ているけど違う」ポイントが、理解のラスト1マイルです。
ここがあいまいなままだと、
肢が変わると急に不安になる
パターンを丸暗記しているだけになりがち
という状態から抜け出せません。
そこで役に立つのが、ChatGPTに差分を説明させる勉強法です。
「この2つの概念の共通点と違いを整理して」
「この選択肢AとBの“決定的な違い”だけを説明して」
と投げることで、
自分の頭の中でごちゃっとしていたものが、きれいに言語化されます。
ここからは、実際に使っていたマニアック(だけど超役立つ)質問たちを題材に、
この勉強法の「実例編」としてまとめていきます。
実例1:CAD・CAE・CAM・CAIの違いを「ライフサイクル」で整理
どこでモヤモヤしていたか
製造・生産管理系の勉強をしていると、
CAD / CAE / CAM / CAI という似た4兄弟が出てきます。
CAD:Computer Aided Design(設計支援)
CAE:Computer Aided Engineering(工学的検証)
CAM:Computer Aided Manufacturing(製造支援)
CAI / CAL:Computer Aided Instruction / Learning(教育支援)
名前は似ているし、全部「コンピュータ支援」だし、
試験問題でも一緒くたに出てきます。
AIにどう聞いたか
ここでは、
「CAD、CAE、CAM、CAIの違いを、製品ライフサイクルの流れに沿って説明してください」
という形で質問しました。
ChatGPTがどう整理したか(要約)
AIはこれを**「製品ライフサイクルの順送り」**として整理してくれます。
CAD:まず設計を支援する
CAE:次に、設計したものをシミュレーションで検証する
CAM:さらに、その設計を現場の製造に落とし込む
CAI:最後に、それらを教える・教育する段階を支援する
つまり、
設計 → 検証 → 製造 → 教育
という流れで理解できる、という整理です。
勉強法としてのポイント
単に「定義」を並べるのではなく、時間軸(流れ)で差を説明させると一気に整理される
「左から右に並べた図」を頭に浮かべられるので、試験でも迷いにくくなる
実例2:ハフ・モデル、ライリーの法則、ライリー&コンバースの法則
どこでモヤモヤしていたか
マーケティングの立地論では、
ハフ・モデル
ライリーの法則
ライリー&コンバースの法則
といった、これまた似た名前の理論が並びます。
どれも「商圏」や「来店確率」に関係しそうですが、
微妙に式や前提が違います。
AIにどう聞いたか
ここでは、
「ハフ・モデル、ライリーの法則、ライリー&コンバースの法則の共通点と違いを、
・何を予測するモデルか
・どんな前提で考えているか
の2軸で整理してください」
と依頼しました。
ChatGPTがどう整理したか
共通点:
いずれも商圏・顧客の店舗選択を扱う理論
違いのイメージ:
ライリーの法則:
2都市の中間地点(無差別点)を求める、「都市間」レベルの話
ライリー&コンバース:
複数商店間の競合などを拡張したバージョン
ハフ・モデル:
距離や店舗規模などから来店確率を求める、より柔軟な確率モデル
「式の細かさ」ではなく、
**“どの粒度で何を予測するか”**という観点で整理してもらうことで、
混乱がかなり減りました。
勉強法としてのポイント
「式そのもの」より先に、**「どんな場面で使うか」**を聞く
「都市レベル」「店舗レベル」「確率レベル」など、粒度の違いで区別すると頭に残りやすい
実例3:署名鍵・共通鍵・公開鍵・秘密鍵
どこでモヤモヤしていたか
情報セキュリティ分野では、
共通鍵暗号
公開鍵暗号(公開鍵・秘密鍵)
電子署名(署名鍵・検証鍵)
など、鍵だらけの世界になります。
用語が似ているうえに、
「暗号化に使う鍵」
「署名に使う鍵」
「鍵を公開する/しない」
など、頭がこんがらがりやすいところです。
AIにどう聞いたか
ここでは、
「共通鍵、公開鍵、秘密鍵、署名鍵(検証鍵)について、
・誰が持つのか
・何に使う鍵なのか(暗号?署名?)
・公開してよいかどうか
を整理した表を作ってください」
とお願いしました。
ChatGPTがどう整理したか(イメージ)
| 種類 | 誰が持つ? | 主な用途 | 公開してよい? |
|---|---|---|---|
| 共通鍵 | 通信する当事者どうし | 暗号化・復号 | 公開NG |
| 公開鍵 | 世界中に配ってよい鍵 | 暗号化 or 署名検証 | 公開OK |
| 秘密鍵 | 本人だけ | 復号 or 署名 | 公開NG |
| 署名鍵 | 署名する本人 | 電子署名を生成 | 公開NG |
| 検証鍵 | 相手(第三者) | 署名の検証 | 公開OK |
※実装上はいろいろバリエーションがありますが、理解のための整理です。
勉強法としてのポイント
「誰が持つ?」「公開OK?」という人の視点で整理すると理解しやすい
表形式で差を見比べることで、
「あ、公開鍵と検証鍵って“公開していい系”の鍵なんだな」と感覚が定着する
実例4:セマフォとデッドロックの違い
どこでモヤモヤしていたか
OSやデータベースの分野では、
セマフォ(semaphore)
デッドロック(deadlock)
という、これまた似た印象の単語が出てきます。
どちらも「排他制御」「待ち」に関係していますが、
仕組みと現象がごちゃ混ぜになりがちです。
AIにどう聞いたか
ここでは、
「セマフォとデッドロックの共通点と違いを、
・“仕組み”なのか“状態・現象”なのか
・OSとデータベースでどう使われるか
の観点で整理してください」
と聞きました。
ChatGPTがどう整理したか(要約)
セマフォ:
複数のタスクの実行を調整するための仕組み・道具
OSやDBなど、並行処理全般で使われる
デッドロック:
タスクどうしが互いに待ち合って、永久に進まない**“行き詰まり状態”**
ロックやセマフォの使い方を誤ると発生する現象
つまり、
「セマフォ=交通整理の信号機」
「デッドロック=互いに譲らず詰まってしまった交差点」
というたとえで理解できるようになりました。
勉強法としてのポイント
「これは道具?それとも起きてしまった状態?」という視点で質問すると、
概念のレイヤーがきれいに分かれるその結果、デッドロック問題を見たときに、
「セマフォの使い方が悪くて事故っている状態なんだな」とイメージしやすくなる
実例5:FTAはQC七つ道具とどう関係するのか?
どこでモヤモヤしていたか
品質管理の世界には、
QC七つ道具(パレート図、特性要因図など)
新QC七つ道具(連関図、系統図など)
信頼性工学の手法(FMEA、FTAなど)
といった、似たような「図・分析手法」がたくさん登場します。
ここでは特に、FTA(Fault Tree Analysis) が、
QC道具と同じグループなのか
それとも別の流派なのか
が分かりづらいポイントでした。
AIにどう聞いたか
ここでは、
「FTAはQC七つ道具や新QC七つ道具とどのように関係していますか。
位置づけと役割の違いを、受験生向けに整理してください。」
と質問しました。
ChatGPTがどう整理したか
QC七つ道具:
不良やばらつきを**「現場データ」から分析する道具**
新QC七つ道具:
問題の構造・関係性を**「言語・アイデア」から整理する道具**
FTA:
システムの故障や事故につながる要因を、
トップダウンで論理的に分解する信頼性・安全解析の手法
つまり、FTAは「QC七つ道具の仲間」というよりは、
品質・安全分野の中の「信頼性工学寄り」の分析手法
として位置づけられる、という整理でした。
勉強法としてのポイント
「どのグループに属するか?」を聞くと、体系上の位置が見えてくる
位置づけが見えると、暗記ではなく、「図書館の本棚」のように頭に並べられる
実例6:サイバーフィジカルシステムとデジタルツイン
どこでモヤモヤしていたか
DXやスマート工場の文脈では、
サイバーフィジカルシステム(CPS)
デジタルツイン
という用語が頻出します。
どちらも「現実世界とデジタル世界をつなぐ」概念ですが、
それぞれの違いがあいまいになりがちです。
AIにどう聞いたか
ここでは、
「サイバーフィジカルシステムとデジタルツインの
共通点と違いを、表形式で整理してください。」
とお願いしました。
ChatGPTがどう整理したか(イメージ)
共通点:
現実の“物理世界”と“デジタルモデル”をつなぐ考え方
センサーや通信を使って、データを行き来させる
主な違い:
CPS:
「システム全体」の構造・制御まで含めた広い概念
工場、交通、エネルギーなど大きな仕組みで使われる
デジタルツイン:
ある対象(設備・製品・プロセス)の**“双子モデル”**に焦点
シミュレーションや状態監視に特化したイメージ
表で並べることで、
「CPSの中でデジタルツインが動く」といった、
入れ子のようなイメージが持てるようになりました。
勉強法としてのポイント
抽象度の高い概念は、粒度とスコープの違いで整理すると分かりやすい
表形式で共通点と相違点を並べることで、
試験でも「どっちを聞いているのか」を冷静に読み分けられる
この勉強法をマネするなら「3つのパターン」を持っておく
ここまで見てきた実例は全部マニアックですが(笑)、
やっていることはシンプルです。
パターン1:共通点と相違点をセットで聞く
「2つ(or 3つ)の概念の
・共通しているところ
・決定的に違うところ
を分かりやすく説明してください」
パターン2:視点を指定して整理させる
「用途」「誰が使うか」「流れ(プロセス)」「粒度」など、
どの観点で差を見たいか をあらかじめ伝える
例:
「製品ライフサイクルの流れに沿って説明してください」
「誰がその鍵を持っているか、公開して良いかどうかで整理してください」
「システム全体の概念か、一部のモデルかで違いを説明してください」
パターン3:表形式で差分をお願いする
「この概念AとBの違いを、表形式で整理してください。
列は『項目名』『A』『B』『コメント』の4つにしてください。」
まとめ:マニアックな差分ほどAIに説明させる価値がある
CAD・CAE・CAM・CAIのような「4兄弟」
ハフ・モデルとライリーの法則のような「似たマーケ理論」
共通鍵・公開鍵・秘密鍵・署名鍵のような「鍵だらけ」の世界
セマフォとデッドロックのような「仕組みと現象」
FTAとQC道具のような「体系上の位置づけ」
CPSとデジタルツインのような「粒度とスコープの違い」
こういったマニアックなテーマこそ、
ChatGPTに「差」を言語化させる勉強法がよく効きます。
過去問を解きながら、
「ここ、何が違うんだろう?」と少しでもモヤッとしたら、
その場でスマホでもPCでもいいので、AIに投げてみる。
この一手間が、
**“なんとなく分かったつもり”から“明確に説明できるレベル”**へのジャンプになります。


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